■プロフィール

笹井宏之

Author:笹井宏之
◇1982年夏生まれ
◇ししゃも好き
◇療養生活をおくりながらあっけらか
 ーんと短歌をつくっています

○メールはこちら
 tsutsui@izumy.com
(@は半角文字で入力してください)

【温帯空虚】
題詠100首用のブログはこちら

療養生活あれこれ

■最近の記事
■最近のコメント

■最近のトラックバック
■月別アーカイブ

■カテゴリー
■ブロとも申請フォーム
■ブログ内検索

■RSSフィード
■リンク
■FC2カウンター

楽歌三昧 071:鉄 より
     F1000454.jpg
(写真:2007.11.22 宏之撮影)


071:鉄 より (題詠選り好み2007)

感傷と私をむすぶ鉄道に冬のあなたが身を横たえる  笹井宏之 (【温帯空虚】)



美しい物語みたい。
先ず一番に思ったのはなぜ「冬」なのか、ということ。
「感傷」といえば秋思、と単純に思い浮かべてしまったが、「冬のあなた」を
越えて行く先は春というのが自然だから春愁か。
「冬のあなた」を越えて行かない限り「私」は永遠に冬から出られない。
「冬のあなた」は確信犯なのだ。春の愁いに行きつく鉄道に乗ると「冬のあなた」を
轢いて行くことになる。「私」は「感傷」にたどり着きたいのだろうか?
いったいに、「あなた」を踏みしだいて行くから「感傷」なのではないのか?
原因と結果が逆の、だまし絵のような錯覚を覚える。

何度も読み返すうち、別の物語が立ち上がってきた。
「私」は「感傷」を目指しているのだが「冬のあなた」がそれを身を持って阻止しようと
しているのだ。「冬のあなた」は「私」が「感傷」へ向かってはいけないと思っている。
そして、「私」にとって「冬のあなた」を轢いて行くことなど有り得ない。
 
更に読み返すうち、すべての物語が消えて、鉄道を静かに覆っていく雪が見えてきた。
雪がすべてを覆い隠して真っ白にしていく。「感傷と私をむすぶ鉄道」ももう見えない。
雪景色の歌、と言ってしまえば身も蓋もないが、雪景色をこんな風に詠める人もそうそういないと思う。
雪だから「冬」でなくてはならなかったんだなぁと納得した。
 
たった三十一文字の詩のちからを、たっぷり堪能した。



お気楽堂さん(楽歌三昧)、ありがとうございました。

残照 | 21:21:37 | Trackback(0) | Comments(0)
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する